ひなび舎だより　～たねとり農家のひなびた暮らし

ドラマや物語のキャラクターの味付けをするために、
好きな食べ物を設定する、という手法があると聞いた。
『水戸黄門』の「うっかり八兵衛」には団子を食べさせて、
という具合だそうだ。

確かに、
「今夜も私は最高級のウイスキーを吟味した。」
となると「クラシックの音楽がかかる部屋の中で目を閉じていた私に、
ソファでくつろいでいた妻が、お正月のハワイ行き、楽しみね、
とやさしく笑った。」
と続きそうだし、

「今夜も俺はスーパードライを喉に流しこんだ。」
となると「テレビのバラエティー番組を観ながら、
夕飯のおでんを食べていた妻が、お正月の城之崎温泉行き、楽しみね、
とやさしく笑った。」
と続きそうだし、

「今夜も僕は焼酎の大五郎をお湯割にして寒さに震えながら飲んだ。」
となると「軽トラのタイヤが一つ無くなっている事に気づいた妻が、
どうしたの？と聞いてきたので、
橋の上を走行中にタイヤが外れて転がっていって、
まるで河童に肝を抜かれるように川の中に消えて行ったんだ、と答えると
妻は大丈夫よ、明日は今日よりきっといい日になるわ、とやさしく笑った。」
と続くのが自然の流れだろう。

やはり食べものの嗜好は
その人を形成するひとつの要因であることは間違いない。


さて、毎日寒いですね。
今日は倉庫の中で行き場をなくしていた
芽が出てきてしまった玉葱を畑に植えていました。
去年とこの冬と、二度の冬を露地の畑で過ごす玉葱は、
分球してしまうので小さくなってしまうのですが、
甘さ、旨さは食べたことのない方には未知の味だと思います。
楽しみにしてください。


by鄙侘助