2015年01月17日
『失業レストラン』
港町の商店街で、
どこか落ち着ける喫茶店を探した。
わたしはこの街が好きだ。
それにこの街の人で未だ嫌な人に会ったことがない。
うらぶれた外観とはうらはらに、
その店の中はこざっぱりしていた。
「いらっしゃい」
マスターはわたしを見ると、
眉を八の字にして微笑んだ。
「何をやっても儲かりませんよ。」
わたしが言うと、
いやぁ、まだましでしょう、ウチなんかチェーン店のコーヒーショップに、近頃はコンビニの百円コーヒーが大ヒットですよ、たまったもんじゃあありませんよ。
マスターは続けて、
「そりゃあもう自分の食いぶちは必死に探しましたよ。」
そういうと眉を八の字にして微笑んだ。
入り口のドアが開き、中年の男性が入ってきた。
商店街にある小さな本屋の主人らしい。
「どうです?」
マスターが言うと、
「さっぱりですよ。今じゃあ本なんかわざわざ店に買いに行く時代じゃない。ネットで買って終わりですよ。私も終わりだ。」
男性は答えた。
マスターは、「毎日、今日が人生最後の日かもしれない、と考えるとすれば、いつか必ずその考えが正しい日が来る。スティーブジョブズ」
と言うと眉を八の字にして男性に微笑んだ。
「まぁそんな事言っても、所詮わたしなんぞは、しがない喫茶店のうらぶれた店主ですよ。」
さらにもう一度眉を八の字にして微笑んだ。
今度は小柄な女性が入ってきた。
商店街にある服屋のオーナーらしい。
「どうです?」
マスターが言うと、
「ダメです、どう頑張ってもユニクロにはかないっこありません。あの値段では最初から相手にならない。もう終わりです。」
女性は答えた。
マスターは、「ウサギはカメに勝つ事だけを考えていたから負けた。カメはウサギに勝つ事ではなく、ゴールと言う目標を見ていたから勝った。松岡修造」
と言って眉を八の字にして微笑んだ。
いつしかマスターの微笑みに ホロッ としてしまう自分がいた。
「まぁそんな事言っても、所詮わたしなんぞは、しがない喫茶店のうらぶれた店主ですよ。」
マスターがそう言い眉を八の字にして微笑むと、
三人ともおしぼりで目尻を拭った。
マスター、ありがとう、わたしはコーヒー代をマスターに手渡し、
本屋さんと服屋さんと握手をして、
店を出て
中華街へと
歩いていった。
どこか落ち着ける喫茶店を探した。
わたしはこの街が好きだ。
それにこの街の人で未だ嫌な人に会ったことがない。
うらぶれた外観とはうらはらに、
その店の中はこざっぱりしていた。
「いらっしゃい」
マスターはわたしを見ると、
眉を八の字にして微笑んだ。
「何をやっても儲かりませんよ。」
わたしが言うと、
いやぁ、まだましでしょう、ウチなんかチェーン店のコーヒーショップに、近頃はコンビニの百円コーヒーが大ヒットですよ、たまったもんじゃあありませんよ。
マスターは続けて、
「そりゃあもう自分の食いぶちは必死に探しましたよ。」
そういうと眉を八の字にして微笑んだ。
入り口のドアが開き、中年の男性が入ってきた。
商店街にある小さな本屋の主人らしい。
「どうです?」
マスターが言うと、
「さっぱりですよ。今じゃあ本なんかわざわざ店に買いに行く時代じゃない。ネットで買って終わりですよ。私も終わりだ。」
男性は答えた。
マスターは、「毎日、今日が人生最後の日かもしれない、と考えるとすれば、いつか必ずその考えが正しい日が来る。スティーブジョブズ」
と言うと眉を八の字にして男性に微笑んだ。
「まぁそんな事言っても、所詮わたしなんぞは、しがない喫茶店のうらぶれた店主ですよ。」
さらにもう一度眉を八の字にして微笑んだ。
今度は小柄な女性が入ってきた。
商店街にある服屋のオーナーらしい。
「どうです?」
マスターが言うと、
「ダメです、どう頑張ってもユニクロにはかないっこありません。あの値段では最初から相手にならない。もう終わりです。」
女性は答えた。
マスターは、「ウサギはカメに勝つ事だけを考えていたから負けた。カメはウサギに勝つ事ではなく、ゴールと言う目標を見ていたから勝った。松岡修造」
と言って眉を八の字にして微笑んだ。
いつしかマスターの微笑みに ホロッ としてしまう自分がいた。
「まぁそんな事言っても、所詮わたしなんぞは、しがない喫茶店のうらぶれた店主ですよ。」
マスターがそう言い眉を八の字にして微笑むと、
三人ともおしぼりで目尻を拭った。
マスター、ありがとう、わたしはコーヒー代をマスターに手渡し、
本屋さんと服屋さんと握手をして、
店を出て
中華街へと
歩いていった。
この記事へのコメント
マスター、ありがとう。
Posted by うめころん at 2015年01月18日 00:12
うめころんさん、ありがとう。
Posted by ひなびや at 2015年01月18日 18:08